「風が強く吹いている」(三浦しをん)
本年初読了は1200枚の長編「風が強く吹いている」。
しをんの直木賞受賞第一作は、「走るの好きか?」の問いかけから物語が始まる。
作者は部類のマンガ好き。こりゃ「シュート」か「スラムダンク」を意識したに違いない。
つっこみどころは数多くある。10人だけの部員で箱根駅伝に挑戦だし、その半分以上が素人同然。
現実にはありえない展開だってあるし。
でもね、そんなリアリティなんて蹴飛ばしてしまう面白さ。青春小説の傑作がまた生まれた。
後半200ページは大手町に始まる駅伝本番が描かれる。
レースシーンは毎年見慣れた風景だけに、すぐに絵が浮かんでしまう。
大晦日から往路の日にかけて読んだのは正解だったかも。
箱根駅伝を舞台にした小説は「強奪・箱根駅伝」以来。
駅伝を「個人競技と団体競技の究極の中間体」とした作者の定義には激しく同意。
そして、長距離ランナーへの最高の賛辞は「速い」ではなく「強い」なのだそうだ。
三浦しをんには、ハマってしまいそうです。