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「民宿雪国」(樋口 毅宏)

2012年8月、国民的画家・丹生雄武郎(にう・ゆうぶろう)が亡くなった。享年97歳。 80年代のバブル時に突如衆目を集め、華やかな時代を背景に一躍美術界の新星として脚光を浴びる。しかし、各方面からの称賛の声をよそに、けして表舞台には出ようとせず、新潟県T町にて日本海を見下ろす寂れた「民宿雪国」を経営、亡くなるまで創作に没頭した。「芸術はなんというなれの果てまで私を連れてきたのだろう……」 大正4年生まれ、使用人との間に生まれ、病弱で不遇な少年時代を過ごし、第二次大戦ではニューギニアに応召、敗戦後はシベリアに抑留される。復員すると愛妻は疎開先で亡くなっており、彼は終生「遺された者の不幸」と「戦争で死ねなかった負い目」に苛まれたと推測される。 しかし一方で、丹生氏の過去にはいささか不明瞭な部分もあった。 かつて「民宿雪国」に宿泊、丹生氏によって人生を左右されたと明言するジャーナリスト・矢島博美氏がその死後に丹生氏の過去を掘り下げたところ、以外な事実が明るみに出たのだった。 彼はなぜその経歴を詐称したのか。 やがて彼の破天荒な生涯が、かくされた昭和史を炙り出したのだった――。
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こういう作品を読めたのは、幸なのか不幸なのか?
読後は打ちのめされたような感覚にひたった。
内容がすごいし、文章も美しい。
私が敬愛する作家、宮本輝の対極にも思える作家だ。
この対極という言葉は良い意味である。
私のブログを読んで購入の参考にしようなんて奇特な人は
いないだろうが、あえて言いたい。

「この本は読め!」