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追憶のかけら(貫井徳郎)

a0006144_12575164.jpg国文学の大学講師の松嶋は、最愛の妻・咲都子を事故で亡くしてしまう。
残された一人娘の里菜は咲都子の両親の元に預けられていた。亡き妻の父親は同じ大学の麻生教授で、松嶋にとっては頭が上がらない存在である。

そんな折、増谷という男の突然の来訪。終戦後に活躍しながら自殺した作家、佐脇依彦の未発表の手記があるのだという。昭和21年、医師をしている叔父の元にいた佐脇は、復員兵の井口という男と知り合いになった。空襲で妻子を失ったという井口は、竹頼春子という女性の捜索を佐脇に依頼する。
発見できたら「私が謝りたいと云っていたと伝えてくれ」そう言い残して井口はこの世を去る。
その願いを引き受けた佐脇だったが、それが彼自身に降りかかる災厄のきっかけとなる。

作中作としての佐脇の手記部分は、旧字体で書かれているが読みやすく、終戦当時の様子が面白い。
主人公が情けないキャラクターなのがいい。終盤に衝撃的な事実が明らかになり、事件の様相がひっくり返されてゆき、意外なストーリー展開に釘付けになってしまう。
ラストはほろりとさせられてしまった。泣けるよなぁ。

高い評価は受けにくい作品かもしれないが、私はこういう話って好きです。
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by minami18th | 2004-09-02 12:56 | 砂に足跡