「笑い犬」(西村健)

a0006144_9591667.jpgメガバンクの支店長・芳賀は、ある日突然上層部に裏切られて、刑務所に入れられてしまう。会社をかばって沈黙を守り、精神的に追い詰められた芳賀は、自分も知らないうちに笑っていた。その「笑み」が、卑怯で狡猾な「勝ち組」をおののかせる――刑務所小説と企業人小説と家族小説を、革新的に融合した力作!!

「ビンゴ」「劫火」で西村健にハマってしまった。
見事な冒険小説を読ませてくれる、稀有な作家だと思う。
オダケン、銀次、一徹たちは、アウトローのカテゴリーに入るのだろうが、「笑い犬」の主人公の芳賀陽太郎は一流銀行の支店長。
どんな話になるのか、とまどいつつ読み始める。

作品の半分以上を占める、第一部の刑務所生活の描写が面白い。
かなりの取材をしたのだろう。
しかし語り口はあくまで淡々としている。
無理にでもカネを貸す銀行。それを貸しはがす銀行。
その醜い面をうまく読ませてくれる。

終盤第二部は芳賀の出所から始まる。
第一部の淡々とした文章から一転、西村健らしい疾走の文へ。
芳賀の長女のキャラクターがいい。
ライターの九鬼の活躍も見所。
少々物足りないところが無いわけではないが、おおむね満足の
読後感を得られる。

よし、次は連作集「ゆげ福」を読むとしよう。
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