「キング」(堂場瞬一)

a0006144_16552290.jpg大学陸上部で同級生だった三人が、オリンピック男子マラソン代表・最後の一枠の選考レースに出場することになった。実家が金持ちで、最高のスタッフを自費で揃えた天才ランナーだが、故障がちな須田。過去にいい成績を出しながらも連盟批判をしたため陸上界を追われる結果となった武藤、これまでコンスタントに大きなレースを完走し常に3位に入る安定性を持ちながら、一度も優勝したことのない青山。何としても勝ちたい、その思いから、それぞれの方法でトレーニングをこなす3人。しかしそんなとき、青山のまえにドーピングを勧める謎の男が現れた──。

マラソンのために徹底してカネをつかった須田。
マラソンのために人間らしい生活を捨てた武藤。
ドーピングの魔力にあらがう青山。
選考レースに至るまでの経過も面白いが、なんといってもレースシーンが圧巻。
マラソンランナーの思考や、走っている呼吸が感じられる。
これは作品の中でマラソンを擬似体験できるという、稀有な小説なのかもしれない。

なお、この作品は文庫化に際し「標なき道」と改題されている。
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