「赤朽葉家の伝説」(桜庭一樹)

a0006144_23122458.jpg日本推理作家協会賞受賞作。
作品の舞台は鳥取県紅緑村。千里眼の祖母万葉、中国地方を制圧したレディースの頭から漫画家へと転身した母毛毬、そして何者でもない私瞳子。戦後から高度経済成長の時代、そしてバブルを経て平成の世に至る現代史を背景に、旧家に生きる三代の女たちと、彼女たちを取り巻く不思議な一族の姿を鮮やかに描く。


第一部 最後の神話の時代。
1953年から75年。「山の民」に置き去られた赤ん坊は、製鉄業で財を成した赤朽葉家の義母タツに望まれて輿入れし、「千里眼奥様」と呼ばれる祖母・赤朽葉万葉となる。黒菱造船の娘、黒菱みどりとの別れと友情、職工頭の豊寿への思い。
第二部 巨と虚の時代。
1979年〜98年。高校時代に中国地方の暴走族を制圧し、卒業後、連載十二年の人気漫画家になる万葉の娘、丙午生まれの母・赤朽葉毛毬。豊寿の姪で、親友のチョーコへの思い。万葉の子どもである長男の泪、長女の毛毬、次女の鞄、次男の孤独。そして同居人の寝取りの百夜。。
第三部 殺人者。
2000年〜。祖母や母は違い、平凡で語るべき物語がなく申し訳なく思っている語り手の私である赤朽葉瞳子。ある人が死の間際に遺した言葉「人を、一人殺した」に動かされ、祖母や母から聞かされてきた赤朽葉家の出来事をつづり、誰をなぜ殺したのかを探る。

二段組300ページを超える長編。しかし読み始めると引き込まれて、まったく飽きない。地方都市の産業の発展の様子や、その時代の移り変わりが生き生きと描かれ、物語はドラマチックに展開。巻を置くのがもったいない面白さ。赤朽葉家の三代の女たちの存在感は見事です。今年読んだ小説の中で最高ランクの面白さでした。
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