今日の感動

コラムでみつけた文。

一粒の松の種が、岩の割れ目に落ちた。やがて弱々しい芽を出した。時がたち、芽は岩を真っ二つにする大樹に育った。「岩割りの松」と言われた。なぜ、松は岩に負けなかったのか。作家・下村湖人の小学校の恩師が語ってくれたという。「松が岩に勝つ力は、その幹の堅さではない。それは、その生長力にあるんだ。じりじりと自分を生長さして行く命の力、それが岩を割る力なんだ」(『下村湖人全集5』)。そこで根を張るしかない松の芽は、何を思っただろう。忘れたり、ごまかしたりできない、いまある境遇の辛さや自身の弱さを嘆いただろうか。確かなのは、うまずたゆまず生き抜いて、伸び続けたということだ。岩を叩き割ろうとする無鉄砲さではなく、したたかに生きる真面目さ。それが大木に育つ道だった。(中略)人生に勝利する人とは、苦労を避けて生きる“器用な人”ではなく、困難を真正面から受け止めてなお、心で負けぬ“地道な人”に違いない。
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