「三人目の幽霊」(大倉 崇裕)

a0006144_23272948.jpg憧れの大手出版社に入った間宮緑(まみやみどり)が研修を終えて受け取った辞令は、“「季刊落語」編集部勤務を命ず。”座布団に坐って面白い噺をしては客を笑わせる、あの落語…?その場で辞表を書こうかと世を儚みかけたが、せっかく入ったのにもったいない、どうにか気を取り直した。年四回発行の落語専門誌「季刊落語」の編集部は総員二名。唯一の上司兼相棒はこの道三十年の編集長、牧大路(まきおおみち)。二と二を足して五にも十にもしてしまう人並み外れた洞察力の主である。牧の手にかかると、寄席を巻き込んだ御家騒動、山荘の摩訶不思議、潰え去る喫茶店の顛末…“落ち”が見えない様々な事件が、信じがたい飛躍を見せて着地する。時に掛け合いを演じながら、牧の辿る筋道を必死に追いかける緑。そして今日も、落語漬けの一日が始まる―。

出版社の新米社員とベテラン編集長。背景には寄席、落語家。「日常の謎」ミステリに分類されるのでしょう。となれば北村薫の「円紫さんと私」シリーズと比べてしまう。
しかしこれは全く別物。比較などせず楽しむべきですね。
落語の知識など無くても楽しく読めます。でも知識があればさらに楽しめます。
作中の一編「三鶯荘奇談」の主人公が逃げ惑うシーンなどは、落語「鰍沢」を彷彿とさせます。この作品はシリーズで、第二作は長編の「七度狐」、第三作は「やさしい死神」と続きます。落語の知識を仕込みつつ、次の作品を楽しみにしましょう。
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by minami18th | 2007-06-16 23:47 | 砂に足跡