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わが青春の半村良

最初に読んだのは直木賞受賞作の「雨やどり」だった。カバーの滝田ゆうのイラストにひかれて買ったような気がする。新宿のバーが舞台の小説。人情味あふれる大衆小説の傑作だった。そしてそういう系統の作家だと思ってた。この作品で新宿にすごくあこがれた。機会が無く、作品のようなバーに足を運ぶことはなかったが。

認識が変わったのは、角川の小説雑誌「野性時代」に掲載された「闇の中の系図」を読んでからだ。日本の歴史を裏から動かしてきた「嘘部(うそべ)」という一族の話だった。この作品で伝奇SFというジャンルに目覚めさせられてしまった。「産霊山秘録(むすびのやまひろく)」、「石の血脈」、「戦国自衛隊」などの傑作の数々。そこからは当然「妖星伝」へと進む。1975年から始まった「妖星伝」は5年で6巻まで発表され未完で中断。最終巻の7巻が出たのは1993年だった。完結まで18年を要してしまったわけだ。その間には全80巻の予定でムー大陸の興亡を描く「太陽の世界」が発表されていたが、これは本当に未完の大作になってしまった。

短編にも多くの傑作。「およね平吉時穴道行(およねへいきちときあなのみちゆき)」、「庄ノ内民話考(しょうのないみんわこう)」、「収穫」、「わがふるさとは黄泉の国」など。
「箪笥(たんす)」という短編はホラーの傑作。本当に怖い。この作品以上の怖さを感じたものには未だに出会えない。

下記画像は没後5周年記念として河出書房新社から出たムック本。
買おうかどうか一日迷った末に購入。未発表の作品も掲載されてた。
「およね平吉時穴道行」や「箪笥(たんす)」を再読してみた。
やはり傑作だ。買ってよかった。
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by minami18th | 2007-04-22 12:03 | 砂に足跡