千年の黙(しじま)

a0006144_183737.jpg鮎川哲也賞受賞作品

第13回鮎川哲也賞受賞作「千年の黙・異本源氏物語」(森谷明子)を読みました。
舞台は平安時代。藤式部(紫式部)が探偵役です。
ワトソン役は紫式部に仕える童女のあてき。
どちらも素敵なキャラクターです。当時の貴族階級の生活が、生き生きと描かれます。
前半は帝の猫の消失事件。後半は源氏物語五十四帖の中から失われた、第二帖の「かか
やく日の宮」の謎が中心です。

第一帖の「桐壺」と第二帖とされる「若紫」の間に、本当の第二帖として「かかやく
日の宮」という帖が存在し、何故その帖が失われたのか、その謎解きが中心です。

「源氏物語」は、その成立そのものも謎の多い作品です。紫式部は実は十七帖しか
書いてないのではないかとの説もあり、井沢元彦も「GEN」という小説で、その謎へ
のアプローチを試みています。天皇家と藤原家の関係に言及し、見方によっては、
かなりヤバイ部分にまで突っ込んでいます。「逆説の日本史」も共通する観点を
含んでいます。

ともあれ楽しい作品でした。ミステリはこんなアプローチの仕方もあるのだと再認識
させられました。平安の世の貴族の生活、けっこう楽しそうな感じです。雰囲気が
見える気がしたのは、作者の筆力でしょうか。それとも、その昔、平安の時代に自分も
生を受けていたからでしょうか。私は、その両方だと思っています。
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by minami18th | 2004-03-06 12:56 | 砂に足跡