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「風が強く吹いている」(三浦しをん)

a0006144_20141467.jpg高校陸上界屈指の長距離ランナーだったが、とある理由で競技から遠ざかっていた走(かける)は、寛政大学に入学。ひょんなことから四年生の清瀬に誘われ、竹青荘というボロアパートに住むことになった。そして清瀬はなんと、そのアパートの10人で箱根駅伝に出ようと言い出す。何をバカなことをと思っていたメンバーたちも次第にその気になり、不平不満をたれながらも、毎日のトレーニングや共同生活の中で、少しずつ少しずつ、走ることの楽しさを一人一人が見つけていく。そして、ギリギリながら予選会を突破して得た、箱根駅伝出場権。10人それぞれの「走ることへの思い」をのせ、襷をつなぐためのレースが始まる。


本年初読了は1200枚の長編「風が強く吹いている」。
しをんの直木賞受賞第一作は、「走るの好きか?」の問いかけから物語が始まる。
作者は部類のマンガ好き。こりゃ「シュート」か「スラムダンク」を意識したに違いない。
つっこみどころは数多くある。10人だけの部員で箱根駅伝に挑戦だし、その半分以上が素人同然。
現実にはありえない展開だってあるし。
でもね、そんなリアリティなんて蹴飛ばしてしまう面白さ。青春小説の傑作がまた生まれた。

後半200ページは大手町に始まる駅伝本番が描かれる。
レースシーンは毎年見慣れた風景だけに、すぐに絵が浮かんでしまう。
大晦日から往路の日にかけて読んだのは正解だったかも。
箱根駅伝を舞台にした小説は「強奪・箱根駅伝」以来。

駅伝を「個人競技と団体競技の究極の中間体」とした作者の定義には激しく同意。
そして、長距離ランナーへの最高の賛辞は「速い」ではなく「強い」なのだそうだ。
三浦しをんには、ハマってしまいそうです。
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by minami18th | 2007-01-02 20:16 | 砂に足跡