「名もなき毒」(宮部みゆき)

a0006144_21304552.jpg愛犬との散歩の途中、コンビニに立ち寄った古屋明俊は、紙パック入りの烏龍茶を買い、歩きながらそれを口にした。その直後、唸りながら口から白い泡を噴き、手足をばたつかせ、のたうちまわり、そのまま絶命するという凄惨な事件が起こる。誰が見ても異様な死だった。彼が連続無差別毒殺事件の4人目の犠牲者の可能性があると報道されたのは、事件発生後3時間後のことになる……。時を同じくして、今多財閥の娘と結婚し、可愛い子供にも恵まれ、何不自由なく暮らす杉村の周辺で「轢き逃げ事件」「毒物混入事件」「飛び降り自殺」など奇妙な事件が次々と起こる。毒殺事件被害者家族の古屋美知香との出会い。ある事件がきっかけで、会社をクビになった元部下からの執拗なまでの嫌がらせ。死期間近の元刑事……。事件の真犯人は?事件の真相は?バラバラに起きる事件の関連性は? 杉村が様々な事件で垣間見た、「名もなき毒」の正体とは?


シックハウス症候群、土壌汚染問題、インターネット、老人問題、フリーターやニートの問題。
タイトルの「毒」は、これら現代社会に起きている様々なことをひとことで現しているのだろう。

物質としての毒と、人間の業にひそむ毒。それを軸に宮部らしいタッチで話は進む。
今さらながら宮部みゆきという作家のうまさ、巧みさを感じました。
誰にもおすすめできる一冊。「このミステリーがすごい」には、まちがいなくランク入りでしょう。
[PR]
by minami18th | 2006-11-12 21:45 | 砂に足跡