「ほっ」と。キャンペーン

神様からひと言(荻原 浩・光文社文庫)

大手広告代理店を辞め、業界では中堅どころの食品会社・珠川食品に再就職した佐倉涼平27歳。入社して初めての新製品決済会議で喧嘩をしてしまい、社内でリストラ要員の強制収容所と言われる“お客様相談室”に異動させられてしまう。

「お客様の声は、神様のひと声」を社訓にかかげる珠川食品だが、クレームに対応する為の部署は社内ではお荷物扱いの社員ばかりだった。勝手がわからずとまどいながらもクレーム処理になんとか対応しようとする涼平。一方プライベートでは半年前に一緒に暮らしていた女性に逃げられてしまっていた。彼女が出て行った理由もわからず、こちらでもとまどってしまう。あわただしく日々を過ごす彼の明日はいかに?!


「お客様相談室」=顧客からのクレーム処理のセクションである。
ギャンブル好きながらクレーム処理の腕は天下一品という篠崎。パソコンヲタの羽沢。失語症なのに電話をとろうとする神保。ナイスバディの美女ながらしたたかな宍戸。キャラの立った面々がやたらと楽しい。

現実にこういうことをやってるかどうかは別にして、細かいクレーム処理のひとつひとつが実に面白い。全員で一致団結して暴力団からの強請に立ち向かうところなんかは最高だ。でもこれだけじゃ終わらない。話はそこから更に大きく動いてゆく。

主人公涼平の仕事の問題と恋愛問題が、ほどよく交錯して描かれる。うまいなぁ。仕事の中で培った涼平自身の変化や成長が彼の生活観・恋愛観をも変えてゆく。
終盤手前で悲しい出来事が起きる。「お客様相談室」のメンバーそれぞれの、思いや事情が垣間見える。このタメが序曲となり、絶妙のラストへの感動へ。仕事で嫌なことが少々あっても、「もう少しがんばってもいいかなぁ?」なんて思わせてくれる、元気のでる作品だ。明日はまた出勤。小説みたいなことは起きるわけないが、ちょっとだけがんばってみようかな。

a0006144_21505535.jpg
[PR]
by minami18th | 2006-07-17 14:33 | 砂に足跡