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「約束の冬」(宮本輝)

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家を新築し、父が出張に出かけた日、22才の氷見留美子は、一人の見知らぬ少年から青い封筒を渡される。 そこには「空を飛ぶ蜘蛛を見たことがありますか?蜘蛛が空を飛んで行くのです。十年後の誕生日に僕は二十六才になります。十二月五日です。その日の朝、地図に示したところでお待ちしています。お天気が良ければ、ここでたくさんの小さな蜘蛛が飛び立つのが見られるはずです。僕はその時、あなたに結婚を申し込むつもりです。」と書かれていた。その手紙は何故か手元に長くとどまりつづけ、十年後に物語は展開する。

作者のあとがき(抜粋)
「約束の冬」を書き始める少し前くらいから、私は日本という国の民度がひどく低下していると感じるいくつかの具体的な事例に遭遇することがあった。民度の低下とは、言い換えれば「おとなの幼稚化」ということになるかもしれない。
そこで私は、「約束の冬」に、このような人が自分の近くにいてくれればいいなあと思える人物だけをばらまいて、あとは彼たち彼女たちが勝手に何らかのドラマを織りなしていくであろうという目論見で筆を進めた。

「約束の冬」を書き始めるとき、強く私のなかにあったのは、冬が来る直前に、自分が吐き出したか細い糸を使って空高く飛ぼうとする蜘蛛の子の懸命な営みの姿だった。

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by minami18th | 2006-05-30 10:44 | 砂に足跡