「戦場のアリア」

「戦場のアリア」
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フランス映画で原題は"JOYEUX NOEL"、英語なら"MERRY CHRISTMAS"にあたる。この作品、観て絶対に損はない。史実を元にした人間愛を描き、観た人の心に希望の火をともす傑作映画だと思う。

冒頭、各国の子供たちが敵国についてどう教えられているかを語る。戦争が教育にどんな影を落としているかを的確に見せる。歌劇の公演中、劇場に軍の高官が登場し、開戦を観客たちに告げる。(日本なら歌舞伎座か宝塚劇場に軍人が乗り込んでくるようなものだ。)どちらもうまい見せ方だ。

背景はは、第一次大戦下の最前線のフランス北部の村。フランス・スコットランド連合軍とドイツ軍とがにらみ合い、塹壕から頭を出せば、すぐさま敵の銃弾が飛んでくる。

そんな戦闘が続く中、兵士の一人であるテノール歌手の歌声に導かれるように、クリスマス・イブの日に一夜限りの休戦が実現。兵士たちはシャンパンで乾杯し、打ち解けて交流し合う。
言葉は英語、フランス語、ドイツ語とそれぞれ異なるが、兵士たちがお互いを人間として認め合い、写真を見せ合ったり、食べ物を交換したり親交を結ぶ様子が描かれる。

両方の塹壕をを自由に行き来している猫が、それぞれネストールとかフェリックスとか名づけられていたり、自軍の爆撃から逃れるため、互いの塹壕を敵味方揃って行ったり来たりとかのエピソードも描かれる。

画像中央の女性歌手が主演女優ということになっているが、本当の主演は三つの国の軍のリーダーたちだ。戦闘から休戦の交渉を経て、お互いを理解し、戦争の空しさを感じてゆく。その変化の様子が見事に描かれている。

国家のエゴや、肉親の死による兵士の人間性喪失、戦時における宗教の無力さもうまくストーリーに溶け込んでいた。野戦病院で働く神父が、己の所属する教会が戦争に加担することに絶望をして十字架を手放すシーンはことさら印象的だった。

この映画のパンフは買っておくことをおすすめする。映像には無かったエピソードがいくつも書いてある。600円出しても買う価値がある。スケッチで見せるエンドロールも秀逸。

「観ておいたほうがいい」と人に勧められる映画が、また一本増えた。
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by minami18th | 2006-05-04 20:12 | 砂に足跡