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「夜のピクニック」

a0006144_22571416.jpg貴子の通う高校は、修学旅行の代わりに「歩行祭」が行われる。それは朝の八時から翌朝八時まで、仮眠を挟んで、全校生徒でずーーーっと歩くというイベント。辛いだけのように思えるイベントだが、仲間とひたすら歩くというこの24時間には、いろんな思い出が生まれる。そして3年生となった貴子は、この最後の歩行祭で、自分自身にある賭を課していた。それは、はからずも同級生になってしまった異母兄妹の西脇融に関することで──。
 父親が浮気をしてできた子と、本妻の子。その2人の子供が同い年というだけでも事態は厄介なのに、何の因果でか、その2人は同じ高校の同じクラスになってしまう。本妻の子・融と、庶子の貴子は、意識しすぎるあまり、クラスメートだというのにまったく口をきいたことがない。けれど2人の間に流れる独特の雰囲気は、仲のいい友人に「好きなんじゃないか」と勘違いされてしまうほど。真実を言うこともできず、相手への怒りや罪悪感でがんじがらめになる2人。


まぎれもなく青春小説の傑作。
「歩行祭」は作者の出身高校で実際に行われている行事だそうだ。マラソンの約2倍、80kmの歩行は辛そうだが、めちゃめちゃ素敵な思い出のできそうな行事だと思う。

この小説に登場する高校生たちの会話はとても知的で洒落ている。こんな会話を展開する高校生なんかいないだろうが、不思議にそのリズムが心地よい。読んでると自分も歩行祭に参加して、一緒に歩いてる気分になってくる。最後には自分も夜を徹して歩き続けた達成感さえ感じてしまう。

登場する彼らのこれからの人生に、エールさえ送ってしまいたくなる傑作の一編だ。
五つ星のオススメ作品である。
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by minami18th | 2005-01-11 00:00 | 砂に足跡