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「銀輪の覇者」(斎藤純)

a0006144_11101957.jpg時代背景は戦争に向かう1934(昭和9)年。下関から青森まで本州を縦断するサイクルレースを描く自転車レース小説である。主人公はフランスでチェロの修行をしていたが、その後自転車レースに出ていた過去を持つ響木。個人参加であったが、競技一日目が過ぎた後、見込んだ男達とチームを組む。当時自転車はオリンピック出場をにらみアマチュア化の方向にあった。主催者山川のレースを開催までの紆余曲折も興味深く描かれる。そして自転車を戦争で使おうとする軍の思惑も交錯。響木は出自を隠しているが、他の3人もそれぞれ何やら事情がありそうである。そしてレースが始まり、響木は自転車レースの走り方をチームの仲間に教えながら、ドイツチームを優勝候補とする先頭集団を追う。

この作品に描かれたような自転車レースは、戦前の日本では実際に行われていたようです。
明治から昭和初期には国民的スポーツと言えるほどの人気があったとか。
戦争が無かったら、日本のスポーツ文化はもっと違う形で花開いていたのかもしれません。

1000枚の長編ですが飽きずに読めます。レースの駆け引きの模様も緊迫感があり楽しく感じられます。スポーツを背景にした小説では、野球やサッカーや陸上競技が題材にされますが、公道の自転車レースというのはたぶん初めて。現代を舞台にするのは事実上不可能でしょう。この時代背景を求めるしかないのかと思います。
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by minami18th | 2005-01-08 11:08 | 砂に足跡