「死ねばいいのに」京極夏彦

世間知らずで口のきき方も知らない青年・渡来健也。殺された知人・鹿島亜佐美のことを知ろうと、彼女の関係者に会いに行く。亜佐美の勤務先の上司、マンションの隣人、母親等、5人の関係者と健也は会う。

亜佐美がどんな人だったのか聞き出そうとする健也だが、彼らは自分の不平不満や鬱憤を吐き出すばかり。関係者はいずれも、はじめは健也の非常識で世間知らずで粗野な口のききかたに嫌悪感・優越感・苛立ちめいた感情を持つが、しだいに健也の飾らない思考に打ちのめされていく。


主人公の渡来健也(わたらいけんや)。
こいつは京極堂だ。
関係者と語らいながら、みごとにその嘘の飾りを引き剥がし
実の心を暴き出す。
彼自身が意識して暴くわけではない。
しかし手法は京極堂の「憑きもの落とし」と同じだ。

人の幸不幸とはいったい何だ?
人の生命の汚れを両手に載せて目の前に突き出すかのようだ。
そんな健也の「憑きもの落とし」。
その手際にひたってみる価値はあると思う。
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